お子さんの大学受験が近づいてくると、「英語の参考書って何を買えばいいの?」と悩む親御さんはとても多いです。
書店に行くと棚いっぱいに参考書が並んでいて、どれが正解なのか迷ってしまいますよね。
この記事では、大学受験の英語参考書の選び方と使い方を、教育の現場を長く見てきた立場からわかりやすく解説します。お子さんの志望校や学力に合った一冊を見つけるヒントになれば幸いです。
大学受験の英語、まず何から始めるべきか
英語の受験勉強は「何から手をつければいいかわからない」という声が非常に多いです。参考書を買う前に、まずお子さんの現在地と目標を整理することが大切です。
英語の4技能と受験で問われるポイント
大学受験の英語では主に読解・リスニング・文法・英作文の4つが問われます。共通テストではリスニングの配点が50%となり、以前より格段に重要になりました。
一方、早稲田大学や慶應義塾大学などの難関私立大学では、長文読解の比重がとても高く、速読力と精読力の両方が求められます。東京大学・京都大学などの国公立系では英作文(和文英訳・自由英作文)も必須です。
受験する大学によって求められる力が異なるため、まず志望校の過去問を一度見て、「どのジャンルに配点が多いか」を確認することをおすすめします。その上で参考書を選ぶと、無駄なく勉強を進められます。
現在の英語力を把握する方法
参考書選びで失敗しやすいのが、「難しすぎる参考書」を選んでしまうケースです。お子さんの現在の実力より2〜3段階上の参考書では、読んでいても理解が追いつかず、やる気も失われていきます。
模擬試験の偏差値(進研模試・河合塾全統模試など)を目安に、現状を把握するのがシンプルで確実な方法です。偏差値50以下なら基礎固め、55〜60なら標準レベル、65以上なら応用・難関向けの参考書が適切です。
また、英単語・文法・読解のどれが一番苦手かを本人と話し合って確認してみてください。苦手分野から優先的に取り組むことで、成績の底上げが効率よくできます。
受験スケジュールから逆算した計画の立て方
高校3年生の4月から受験本番(1〜2月)まで、使える時間はおよそ10ヶ月です。この期間に単語・文法・読解・過去問演習をすべてこなす必要があります。
目安として、4〜7月は基礎固め(単語帳・文法書)、8〜10月は長文読解の練習、11〜1月は過去問演習と弱点補強という流れが一般的です。1冊の参考書を何冊も並行して使うより、1冊を完璧にしてから次に進む方が定着しやすいです。
英単語帳の選び方と定番おすすめ参考書
英語力の土台は語彙力です。どれだけ文法や読解の勉強をしても、単語を知らなければ文章が読めません。単語帳は受験英語の最初の一歩です。
受験単語帳の定番3冊を比較
市販されている受験向け英単語帳の中で、特に多くの受験生に使われているのが以下の3冊です。
| 単語帳 | 収録語数 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| システム英単語(駿台文庫) | 約2000語 | 例文がミニマルフレーズで記憶しやすい | 難関私大・国公立志望 |
| ターゲット1900(旺文社) | 約1900語 | 出題頻度順で効率よく学べる | 共通テスト〜難関大まで幅広く |
| 速読英単語(Z会) | 約1500〜2000語 | 長文の中で単語を覚えられる | 読解力を同時に伸ばしたい人 |
どれか1冊を選んで最後まで繰り返すことが重要です。「3冊を少しずつ」より「1冊を完璧に」の方が記憶に定着しやすく、受験直前の見直しもしやすくなります。
単語帳を効果的に使う勉強法
単語帳は「1回読んで終わり」では身につきません。1日50〜100語を目安に、1冊を最低5〜7周繰り返すことが定着のカギです。
最初の1〜2周は「知っている・知らない」をチェックするだけでOKです。3周目以降は知らない単語だけに絞って集中的に覚えましょう。スマートフォンのアプリ版(ターゲットのアプリ、システム英単語アプリなど)を活用すれば、通学時間や隙間時間にも学習できます。
難関大志望向けの追加単語帳
早稲田・慶應・東大・京大などの最難関大学を目指す場合は、基本の単語帳を終えた後に「鉄壁(角川書店)」や「リンガメタリカ(Z会)」で語彙をさらに広げることも有効です。
特に「鉄壁」は語源から単語の意味を理解できる構成になっており、単語を覚えることが苦手なお子さんにも人気があります。ただしページ数が多いため、あくまで基礎単語帳を終えてからの「上乗せ」として使うのがよいでしょう。
英文法参考書の選び方と使い方
文法は英語の「骨格」です。単語を知っていても文法がわからなければ文章の意味を正しく理解できません。文法書は難しすぎず、説明がわかりやすいものを選ぶことが重要です。
文法書の2種類を理解する
英文法の参考書には大きく分けて2種類あります。「理解系」(講義形式)と「演習系」(問題集形式)です。
- 理解系:「大岩のいちばんはじめの英文法(東進ブックス)」「肘井学のゼロから英文法(学研)」など、文法ルールをわかりやすく解説してくれる本
- 演習系:「NextStage(桐原書店)」「Vintage(いいずな書店)」「英文法・語法Scramble(旺文社)」など、問題演習を通して定着させる本
理解が先、演習が後です。文法が苦手なお子さんは理解系からスタートし、ある程度わかってきたら演習系に移行するのがスムーズです。いきなり問題集から入ると、答えを覚えるだけになりやすいので注意してください。
定番文法問題集の比較
| 参考書名 | 問題数 | 難易度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| NextStage | 約4500問 | 標準〜やや難 | 網羅性が高くセンター〜難関大まで対応 |
| Vintage | 約3200問 | 標準 | 解説が丁寧でわかりやすい |
| Scramble | 約2000問 | 基礎〜標準 | 基礎固めに最適・取り組みやすい |
問題数の多い参考書がよいとは限りません。お子さんが苦手意識なく取り組める、解説が丁寧なものを選んであげてください。1冊を繰り返すことで力がつきます。
文法の勉強で親が気をつけてほしいこと
文法の勉強は「正解できた数」より「なぜ間違えたかを理解できたか」が大切です。間違えた問題には必ず印をつけて、翌日・翌週に再び解き直す習慣をつけると定着が早まります。
また、文法は高2の冬までにある程度固めておくのが理想です。高3になってから文法の基礎からやり直すと、読解・過去問演習の時間が圧迫されてしまいます。早めのスタートを意識してみてください。
英語の助動詞を完全マスター!中学・高校生がつまずきやすいポイントと親子で学ぶ実践ガイド
英語長文読解の参考書選びと学習法
大学受験において、英語の配点のうち最も大きな割合を占めるのが長文読解です。単語と文法がある程度固まったら、次は読解力を鍛えていきましょう。
レベル別の長文問題集おすすめ
長文問題集はレベルによって選ぶ本が変わります。お子さんの現在の偏差値を参考に選んでみてください。
| レベル | おすすめ参考書 | 目安の偏差値 |
|---|---|---|
| 基礎 | 英語長文ハイパートレーニング レベル1・2(桐原書店) | 偏差値40〜52 |
| 標準 | やっておきたい英語長文300・500(河合出版) | 偏差値52〜60 |
| 応用 | 英語長文問題精講(旺文社) | 偏差値60〜65 |
| 難関 | ポレポレ英文読解プロセス50(代々木ライブラリー) | 偏差値65以上 |
偏差値より少し下のレベルから始めて、スラスラ読める感覚をつかんでから次のレベルに進む方法が効果的です。背伸びして難しすぎる長文をやっても、読めないまま終わるだけで力が伸びにくいです。
長文読解の正しい復習のやり方
長文問題を解いた後の復習が、読解力を伸ばす最大のポイントです。問題を解いて答え合わせをしただけでは不十分です。
正しい復習の手順は以下の通りです。
- まず自力で問題を解く
- 解説を読んで、間違えた理由を確認する
- 全文を訳しながら、意味が取れなかった文を特定する
- わからなかった単語・文法を調べてメモする
- 音読を3〜5回繰り返して文章を体に染み込ませる
音読は軽視されがちですが、速読力を高める上で非常に効果的です。英語の語順のまま意味をとらえる「英語脳」が育ちます。毎日1題・丁寧に復習するサイクルが理想です。
志望校別の長文対策ポイント
志望校によって、長文対策のアプローチも変えていく必要があります。
- 共通テスト:図表・メール・広告など多様な形式に慣れることが重要。情報処理のスピードを鍛える
- GMARCHレベル:論説文・物語文など標準的な長文をバランスよく読む力が必要
- 早慶・難関国公立:抽象度の高い文章・専門的なテーマの読解・下線部和訳などに対応できる深い理解力が求められる
共通テストと私大・国公立の二次試験では、求められる力が大きく異なります。志望校の過去問を早めに見て、どの力を重点的に鍛えるか方向性を決めておくことが受験戦略として大切です。
塾・予備校と参考書の上手な組み合わせ方
「塾に通っているから参考書は不要」「参考書だけで十分」という意見もありますが、実際は両者をうまく組み合わせることで最も効率よく成績を伸ばせます。
塾・予備校での英語授業の活かし方
河合塾・駿台・東進ハイスクールなどの大手予備校では、英語の授業で扱うテキストが指定されています。授業中に使うテキストと市販の参考書を役割分担させるのがポイントです。
予備校のテキストは「授業で理解する用」、市販の参考書は「自分でアウトプットする用」として使い分けると、学習の質が上がります。同じ内容を授業で聞いて、参考書で確認して、問題集で演習するという三段階が理想的な流れです。
オンライン塾・映像授業との組み合わせ
東進ハイスクールのような映像授業や、スタディサプリなどのオンライン学習サービスも、参考書学習との相性が非常によいです。特にスタディサプリの関正生先生の英文法・英語長文講座は、参考書「大岩のいちばんはじめの英文法」との組み合わせが多くの受験生に使われています。
映像授業で概念を理解し、参考書で整理、問題集で演習というサイクルをつくることで、自学自習でも着実に実力がつきます。月額約2000円(スタディサプリ)から始められるため、まず試してみる価値があります。
オンライン塾で英語をもう一度学ぶ!初心者・社会人におすすめの活用法と選び方
家庭教師を利用する場合の参考書の選び方
家庭教師を利用している場合は、担当の先生と参考書の選定を一緒に行うことをすすめます。個別指導ではお子さんの弱点に特化した参考書選びができるのが最大のメリットです。
「どこがわからないかわからない」という状態のお子さんには、家庭教師が理解度を診断しながら最適な参考書を提案してくれるため、遠回りが減ります。参考書に書き込みをさせてもらって、先生と一緒に見直す習慣をつけると効果がさらに上がります。
参考書の使いすぎに注意すること
参考書を何冊も買うことが「頑張っている証拠」になってしまうお子さんは少なくありません。しかし参考書の数が多すぎると、どれも中途半端になってしまうリスクがあります。
英語に関しては、単語帳1冊・文法書1冊・長文問題集1〜2冊を軸にするだけで十分です。それぞれを完璧に仕上げてから次に進む「1冊完結型」の学習スタイルを意識してみてください。
共通テスト対策に特化した英語参考書
2021年度から始まった共通テストでは、英語の出題形式が大きく変わりました。センター試験とは異なる形式に慣れるための専用対策が必要です。
共通テスト英語の特徴と対策ポイント
共通テストの英語では、文法単独問題が廃止され、すべて読解問題として出題されます。また、リスニングの配点が筆記と同等(各100点)になったことも大きな変化です。
出題される文章の種類も多様で、Eメール・ウェブサイト・チラシ・複数の文章を比較する問題など、実用的な英語力が問われます。単純な文法知識より「素早く正確に情報を読み取る力」が重要になっています。
共通テスト対策専用参考書のおすすめ
- 共通テスト英語リーディング(KADOKAWA):形式別の解き方を丁寧に解説。初めて共通テスト対策をする人に最適
- 大学入学共通テスト 英語 リスニング(旺文社):音声付きでリスニング練習が充実。スマホで音声が聞ける
- 共通テスト総合問題集(河合出版):実際の試験に近い模擬問題が6回分収録されており、本番の時間感覚をつかむのに役立つ
共通テスト対策は過去問(2021年度以降の本試験)が最良の教材です。専用参考書で形式に慣れた後は、過去問演習を繰り返すのが得点アップの近道です。
リスニング力を短期間で伸ばす方法
リスニングは一朝一夕では伸びにくいですが、毎日15〜20分のリスニング練習を継続することで確実に力がつきます。
共通テストのリスニング音声はナチュラルスピードに近いため、英語ニュース(NHK World・BBC Learning English)を聴く習慣もおすすめです。耳が英語に慣れてくると、リスニング問題の得点が安定してきます。
大学受験リスニング対策完全版|偏差値を上げるおすすめ教材と学習法
参考書学習で結果を出すために親ができること
勉強するのはお子さん本人ですが、環境づくりやサポートは親御さんにしかできないことです。参考書選び以外で、合否に影響する「家庭での関わり方」についても触れておきます。
勉強の「見える化」を手伝う
参考書の進捗を可視化すると、お子さんのモチベーションが維持しやすくなります。カレンダーやノートに「今日どこまで進んだか」を記録する習慣をつけると、達成感が積み重なって継続しやすくなります。
「勉強しなさい」と言うより、「今日は何ページ進んだの?」と質問する方が、お子さん自身が主体的に取り組む気持ちを育てます。会話の中で勉強の話題を自然に取り上げることが、サポートの基本です。
参考書の購入で気をつけること
書店で参考書を購入する際、お子さんが自分で選ぶことが大切です。親御さんが一人で選んで買ってきた参考書は、「やらされている」感覚になりやすく、取り組む意欲が下がることがあります。
一緒に書店に行って、お子さん自身が手に取って「読みやすい」「解説がわかりやすい」と感じた参考書を選ぶ方が、継続して使ってもらえます。また、中古本や電子書籍版を活用すれば費用も抑えられます。
塾・家庭教師と連携して情報を共有する
塾や家庭教師に通っている場合は、先生に「今どんな参考書を使っているか」「どの分野が苦手か」を定期的に共有することで、指導の質が上がります。
塾の定期面談を積極的に活用して、受験戦略についても相談することをすすめます。志望校の変更・受験日程・参考書の追加など、受験全体の方向性を先生と一緒に決めていくことが、合格への最短ルートになります。
まとめ:お子さんに合った参考書が合格への近道
大学受験の英語参考書は、お子さんの志望校・現在の学力・苦手分野によって最適な選択肢が変わります。どんなに評判のよい参考書でも、レベルが合っていなければ力になりません。
まずは現在地の把握→目標レベルの設定→参考書の選定という順番で進めてみてください。そして1冊を丁寧に仕上げることを意識することで、英語の実力は着実に伸びていきます。
塾・予備校・家庭教師を活用しながら、参考書学習と組み合わせることで、さらに効率のよい受験対策ができます。お子さんの努力が実を結ぶよう、ご家庭でも温かく見守りながらサポートしてあげてください。
